「潮騒」を読んだ

こんばんは。今日は三島由紀夫の「潮騒」を読み終えたので、その感想を書いていきます。

 

綺麗な恋愛物語でした。三島由紀夫の美しい文章から紡がれる風景描写や心理描写が、さらに綺麗さを増していた。お話自体は驚くような展開があるわけじゃない。でも、面白い。

超簡単なあらすじを書くと、男は綺麗な女に初恋をする。女は男の純粋さに惹かれ、一途に思い続ける。男は荒波を乗り越え成長する。

側から二人を見てると眩しすぎる。感情移入して読むというよりは、美しく完成された風景、恋愛模様を眺めながら楽しむ。そんな面白さがあった。

 

巻末、重松清さんの解説も良かったね。三島由紀夫はどういった経緯でこの物語を書こうと思ったか、分かりやすく解説されている。つまるところ、皆が現実にはないと知りながら、それでも憧れるような純愛が描かれていたそうだ。

理想はたいがい叶えられない。だからこそ、理想のままでありつづける。 ーP220

 

騒々しい社会から離れ、美しい自然に囲まれた島の、一組の若者の純愛。時代が変わっても、誰かの心には理想として受け継がれるような、そんな傑作だった。