自分で考え、自分なりの言葉で

教育現場での取材から、子どもたちの国語力が低下しているという本を読んだ。

国語力とは、「見知らぬ世界を我がごととして想像し、他者の心のひだまでを感じとり、自分の考えを整理し、相手に伝わるよう適切な言葉で発信していくこと」と定義し、ネットの普及や親の貧困などの様々な理由から、子供たちの他者とコミュニケーションをとるための基礎的な能力が低下していることが書かれている。

今の子供は小さい頃から大量の情報に触れ、常にそれを取捨選択している。溢れんばかりの情報を整理し、処理する力はある。けれど、一つの物事にじっくりと向き合い、自分の思考を磨き上げていくのは全く別の力。知識の暗記や正論を述べることにとらわれ、自分の言葉で考える、想像する、表現するといったことが苦手なのだそうだ。

 

正直これは自分にも当てはまると思ったし、子供に限らず社会全体の問題でもある。ネットではハッキリと分かりやすい言葉がもてはやされる。複雑に絡み合った世の中だと、ハッキリと断定できることなんて少ないはずなのに。

物事の背景を想像すればするほど、短い言葉で言い切ることなんてできない。けれど、SNSのような短文コミュニケーションだと文章が長いだけで相手に伝わらないし、拡散されない。情報を受け取る側だって、自分でじっくりと考えるよりも、誰かが言う正論のようなものを聞いて同調している方が楽だし、多数側になって安心できる。

でも、そうやって自分で考えることをしてないと、簡単に人に流されると思うんだよね。最悪騙されて金銭等の被害を負うことだってあるし、普段から自分の意志で行動しなくなる。

 

だから、一度受け取った情報を自分なりの言葉に変換しておくのは重要。他者の気持ちを想像する、別のことと結びつける、背景を思い描く、自分の考えを客観視する、そうやって一度整理する。たとえ最終的な言葉が誰かと一緒でも、そこまでの過程が大切だと思うんだよね。