「薬指の標本」を読んだ

こんばんは。小川洋子さんの「薬指の標本」を読みました。

ブックオフの棚を眺めていたら、ふと目に入った一冊。結構昔に読んだ覚えはあるけど、内容はなにひとつ覚えてなかった。

当時付き合ってた彼女が好きだと言ってた本で、その時はビジネス書とか自己啓発本ばっか読んでたから、読み終えてもたいした話もできなかった覚えがある。今ならもう少しなんか言えたんじゃないかと、若干の申し訳なさも感じた。素敵な彼女だったな。

 

内容は約100Pほどの短編が二つ。どちらも「心身の無くなったもの」についての話に感じた。

体の一部を失えば心のバランスを崩すし、心の一部を失っても体に変調が起こる。どうしたってバランスは崩れる。人は「ある」ものより、「ない」ものについて思いを馳せる生き物だなと思った。その喪失感がノスタルジーな雰囲気を生み、物語の世界に吸い込まれるような魅力があった。

それほど長くないお話なので、読み終えた時はここで終わってしまうのかと思った。もう少し、物語の世界に浸っていたかった。