自分の考えに水を差す意見を参考にしよう。その余裕を持とう。

森博嗣さんが毎年出してるエッセイを読んだ。そのなかで「自分と異なる意見を参考にする余裕を持とう」という話が特に印象に残った。

エッセイ自体は「何か人生で役に立つことを学ぼう」というよりは、森博嗣の思考の一端に触れて楽しめるものになっている。

 

印象に残った話を簡単に要約するとこんな感じ。

ネットが普及して自分と同じような人を簡単に見つけやすくなると、自分と同じものを毎日確認できて安心する。自分は外れていないと確認できる。けれど、社会に出れば自分と異なる意見を持った人がほとんどだから、「違っていて当たり前」という感覚を持つことは大切という話。

自分の将来について考えるときも、「自分を信じて行け」と後押ししてくれる意見ばかりを取り入れる。自分と同じ考えのものを受け取って「元気をもらった」と喜ぶ。しかし、大事なこと、そして成功の秘訣は、自分とは違うものを自分のものにすること。自分の考えに水を差すような意見を参考にすることだ。その余裕を常に持とう。 P207

なんとなく頭では分かっていても、いざ取り入れるのは意外と難しい話でもある。特に、水を差すような意見を言ってくるような人は上から目線だったり、言い方がきつい印象があるから、いざ言われるとムッとしてしまう。

 

善意でアドバイスをしてくれる人もいる。ただ、こちらの本の別のページに書かれてたいた話だが、アドバイスも「今の自分を否定されること」だから素直に取り入れにくい。

人にものを教える、指示する、アドバイスするというのは、今その人がやっていることを褒める方向性ではない。「それでは上手くいかない可能性が高いから、こちらの方が良いよ」と伝えるのが目的であり、その人の利益になって、いずれは自分に還元されるだろうからアドバイスをする。

けれど、指示されると人によっては自分が非難されているように感じる。嫌われる可能性がある。親や教師が子育てをするのも、子供たちに好かれるのが目的じゃない。嫌われるのを覚悟のうえで、子供たちが将来立派に成長するために行う。

 

結局、同じであることを確認するよりも、異なっていることを参考にする方が有意義。水を差すような意見を言われるムッとしてしまいがちだが、それも自分のものにしていく余裕を持ちたい。